「スマホ断ち」だけが正解じゃない?一級眼鏡作製技能士が提案する『眼のデジタルデトックス』とメガネの関係
目が悲鳴を上げていませんか?
最近、「デジタルデトックス」という言葉をよく耳にします。
週末だけスマホの電源を切ったり、寝る前のスクリーンタイムを減らしたり。
もちろん、物理的に距離を置くことは素晴らしい休息であり、これに勝るものはありません。
ただ、現代社会において完全にデジタル機器から離れて生活するのは、現実的にはかなり難しいのではないでしょうか?
実は、私たち眼鏡のプロから見ると、「デジタルデトックス」と「メガネ選び」は密接に関係しています。
メガネを正しく選ぶことで実現できる「眼の休息」についてお話しします。
1. なぜデジタル画面を見ると疲れるのか?(プロの視点)
「ブルーライトが目に悪い」というのは有名な話ですが、実は疲れの原因はそれだけではありません。
メガネのプロの視点で最も注目するのは「ピント調節機能(毛様体筋)の酷使」です。

- 近くを見続けるストレス: 人間の目は本来、遠くを見る時にリラックスし、近くを見る時に筋肉(毛様体筋)を緊張させてピントを合わせます。スマホを見る時、眼の中では常に筋トレをしているような状態が続いています。
- 瞬きの減少: 集中すると瞬きが減り、ドライアイを引き起こし、それがさらなる眼精疲労(ピント調節機能の低下)を招きます。
つまり、裸眼やコンタクト、あるいは「合っていないメガネ」でスマホを見つづけることは、
重い荷物を持ちながらマラソンをしているようなものなのです。
2. 「見えすぎ」が疲れの原因?過矯正の罠
遠くが良く見えるメガネが良いメガネ!と思い込んではいませんか?
確かに、遠くの看板や景色がくっきり見えるメガネは、運転などには最適です。
近視の方は特に「遠くがしっかり見たい」という欲求が強い方が多いように思います。
実はこういう方の多くが、ご自身が気づかずに、
「遠くが見えすぎるメガネ」(過矯正)をかけていらっしゃるケースが多々あるのです。
しかし、その強い度数(過矯正)のままのメガネで30cmの手元のスマホを見てると、
ご自身の目は必要以上に調節力を使ってピントを合わせなければなりません。
これが「デジタル疲れ」の正体の一つです。
メガネをかけていらしゃる場合、「デジタルデトックス」もですが、
まず「強すぎる度数」をデトックスする必要があると思われます。
3. 眼鏡でできる「デジタルデトックス」
では、どうすれば良いのでしょうか?
私たち一級眼鏡作製技能士が提案するのは、「頑張らなくても見えるメガネ」への掛け替えです。
① アシスト(又はサポート)レンズ(スマホ用レンズ)の活用
最近注目されているのが、レンズの下部分だけ度数を少し弱く設計した「アシストレンズ」です。
視線を落としてスマホを見る時だけ、メガネがピント調節をサポートしてくれます。
これにより、毛様体筋の緊張が和らぎ、掛けているだけで常に「プチ・デトックス」状態を作ることができます。
※主に30代後半~40代の方に向けて適性の高いレンズです。
② 使用環境に合わせた専用メガネ
「仕事中はPC画面(70cm先)が見えればいい」という場合、遠くまで見えるメガネは不要です。
中近両用や近々両用など、デスクワークに特化したメガネを使うことで、目の負担は劇的に軽くなります。
50代以上で老眼の自覚がある方にオススメのレンズです。
③ 高機能コーティング
ブルーライトカットはもちろんですが、最近は「光の反射を抑えてコントラストを高める」コーティングなども進化しています。
質の高いコーティングは、脳への情報のノイズを減らし、疲れにくくします。
4. まとめ:メガネは「見る」ためだけでなく「守る」ための道具
真のデジタルデトックスとは、デバイスを捨てることではなく、
デジタルと共存しても疲れない「眼の環境」を整えることだと私は考えます。
- 夕方になると視界がぼやける
- 肩こりや頭痛がひどい
- スマホを見た後、遠くを見るとピントが合うのに時間がかかる
もしこれらに当てはまるなら、それは眼からのSOSです。
一級眼鏡作製技能士は、単に視力を測るだけでなく、あなたのライフスタイルや目のクセを分析し、
「最も目がリラックスできる度数」を導き出します。
最後に:あなたにできる次のステップ
「自分のメガネ、強すぎるかも?」「アシストレンズってどんな見え方?」と気になった方は、
ぜひ一度ご自身のメガネをご持参の上、当店へご相談ください。
あなたの目がもっと楽になる方法を、一緒に探すことをお手伝いいたします。
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